金型の作り方

ダイカスト用の金型はどうやって作るの?
どう設計してるの?

と聞かれると、当然、一言では難しく
様々な知識・経験が必要ですので
簡単に説明することはできません。

なにしろ、約700℃に熱して溶かした
アルミニウムを機械の力で秒速2mなどで
水鉄砲のように勢いよく
注ぎ込む、というか
打ち込む。
という、「鋳造」に耐えられる金型に
しなければならないわけです。

この過酷な条件下では、いくら鉄でできた金型とはいえ、
強度が弱ければすぐ壊れます。

見た目は大丈夫でも、強度が弱いと鉄でもすぐ曲がりますので
そこはバリになったり不良の原因になります。

さりとて頑丈に作りすぎても
製作するのに手間がかかれば無駄となります。
このバランス加減が難しいところです。

特に、他社で製作された金型をメンテナンスする時に
この設計のバラバラさを感じます。

本当にこれでよく鋳造できてるなぁ、と
強度がかなり弱く作られてるものを後で聞いてみると、
実は特にダイカスト専門でなく、
プラスチック系の金型屋さんが設計したと
聞いて納得することもしばしばあります。

プラスチックでもよくある
PPポリプロピレンでも成形温度は200~300℃。

アルミの700℃とは全く異なるので
同じ感覚で設計してしまうと、失敗してしまうわけです。
ひとえに金型といっても様々。

そしてそこが、弊社がダイカスト専門の理由でもあります。

では。
何をもとにダイカストの金型を設計するか。
この根拠が大事になります。

そこで弊社では、
社団法人日本ダイカスト協会が発行している
「ダイカストの標準」という冊子を利用しています。

この中に、鋳造する製品の大きさに比例するようにして
部位ごとに大きさなどが細かく数値化されています。

この平成14年に発行された「ダイカストの標準」は、
JIS規格やアメリカのダイカスト規格などを参考に
大学の教授や大手メーカーの方々で構成された
協会の技術委員がまとめたものです。

この「ダイカストの標準」を使わせて頂く以前は
確かに、弊社でもおかしなバランス、
何よりもガラパゴスな部分もありました。

現在、この標準化をすすめたお陰で
弊社ではバランスのとれた金型の作りとなっています。

さらには、金型の製作中などに、
経験の浅い従業員の方に設計を問われた時にも
明確に答えることができます。

単純に、職人世界にありがちな
「昔からこう決まってるんだよ!」
という、意味不明なことはありません。
ここは本当にありがたいところです。

しかしながら、当然これはあくまでも標準なので
かなり細長いもの、かなり分厚いものなど
イレギュラーな形状の製品があれば
それに応じて金型もイレギュラーな形になります。
そういうところは、独自の知識・経験が必要となります。

守破離、という言葉がありますが
基本はきちんと守り、
その上で、新しく出てきた材料や表面処理など含め
時代に合わせて改良していく、というやり方をしています。

お陰様で、このダイカストの標準化以来、
かれこれ10年は経ってますが、
この金型の設計構造が元に
トラブルとなるような事態は
今ではもうすっかりなくなりました。
耐久性も確実に上がっています。
いいこと尽くしです。

今日も元気に金型作ってます!

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