技術は裏切らない

昨年中も、振り返るとたくさんの方々にお世話になりました。
誠にありがとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

通常の業務も忙しくやらさせて頂いたのですが、
ここ数年は型技術協会の業務など
他にも様々なことをやってまいりました。

その中で、たくさんの方々とお会いして
業界の様々な話をしていて常に気になるのは
製造業の行く末です。

ネットで検索してみると、
厚生労働省の機関である
国立社会保障・人口問題研究所の発行している
日本の将来推計人口(平成29年推計)によれば

出生中位推計による生産年齢人口割合は、
平成27(2015)年の60.8%から減少を続け、
平成29(2017)年に60%を割り、
平成77(2065)年には51.4%となる

とあります。
つまり元気に働ける人は、これからは全人口に対し2人に1人。
しかも、それが男性で、働き盛りの20代~40代などと
条件をつけようものなら、ますます少なくなります。

そしてさらに、時間外労働の上限規制も設けられました。
残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間。
中小企業も今年の4月からは義務付けされます。

そのような中で、今まで通り生産性を上げられるのか?
非常に大きな問題になっています。

その一方で、進んでいるのは
ものづくりのIT化。さらにはAI化です。

設計や部品ごとの図面の細分化、
それを金型に起こす場合は
その計算もパソコンがこなし、
金型を削る加工プログラムも
全て自動で計算されるようになる。

今はまだその全てが実践できるレベルではありませんが
近い将来には人間が不要になるかもしれない。

そう考えるのが特別おかしいことだと
思わないようにもなってきました。

弊社が作り上げるダイカスト用の金型は
現時点では、専門的な知識と経験が必須です。
経験1年2年ぐらいではできる部分は限られます。

とはいえ、IT化、AI化は間違いなく進みます。
簡単なもの、
完璧なものでなくても
それなりに満足するレベルのものは
徐々に自動的に作られるようになるでしょう。

では、その中で残る部分は何なのか。

難易度の高いものになるはずです。
いくら進化したITでも計算できないもの。

それはつまり、その難易度の高いものを
こなせるようにしておけば、
そう簡単には全ての人間の仕事が
ITに奪われる事態にはならない。
と考えています。

世界的にものづくりのネットワークが広がり、
強力な資本の力で金型を作るシステムを構築したとして
それが高品質なレベルに達するのか?

量産に入ってもトラブル続きになるような型では
あってはならないわけです。

ダイカストの金型は
普通の鉄とは違う、焼入した硬い材料を用い、
700℃の溶けたアルミを打ち込み
冷えて固まらせ、なおかつ精度を出す。

鉄やアルミの材料特性、熱処理、切削、研磨、放電
熱工学、流体力学

満足のいく金型を作ろうとすると
膨大な知識と経験が必要になる理由です。
これは一朝一夕で身につくものではありません。

先日、切削技術の委員会で
刃物のビビリが話題になったことがありました。
きちんと削ったはずが、
表面に刃物で叩いた跡がつく問題です。

実際の加工現場では、ビビったとなれば
回転数や送り速度を遅くするなどで
対策を取ると思います。

では、なぜそれがいいのか。
もっと他に解決方法はないのか。
そもそも何故ビビるのか。

例えば。
最近の大地震で、都会の高層ビルが
グラグラと揺れ続ける現象がありました。

刃物も同じです。
回転して削ることで振動します。

その振動の周波数をフーリエ変換などで計算すると
ビビりにくい条件がみつかります。

ただ、実際の加工現場でそのような
振動をわざわざ計測して計算するわけにもいきません。

概念だけはきちんと押さえて、
何が原因なのかを説明がつく状態であれば
切削条件を落とす以外にも解決方法が
みつけられる場合もあるわけです。

これと現代のデジタル技術をどう組み合わせていくか。
この潮流にうまく舵取りをして乗っていくことが
今の時代には求められていると思います。

昨今の筋トレブームで
筋肉は裏切らない、という言葉がありますが
技術だってもちろんそうです。

技術は裏切らない。

これからも、常に研鑽を積み
時代を読み社会に役立つ金型を作っていこうと思います。

今年も元気に金型作っていきます!