町工場と後継者と自社製品

ギフトショー合同出展一同

フェイスシールドを自社開発して販売以来、金型屋とは違う新しい仕事をこなしてきました。
何を目的にしてきたか?
これで何が変わったのか?

実はその前の半年前にも同じギフトショーの展示会に出展し、こちらの「やっぱり企業は横もつながる」というブログでもまとめたのですが、また新たに色々と思うことがあり。

今回はその中でもキーワードと感じたのがこの3つで
「後継者」
「町工場」
「自社製品」

さらにここから
「従業員のモチベーション」
「少子高齢化の労働者不足」
「新事業による収益リスクの分散」

まで話を広げて総括してみたいと思います。

後継者塾での出会い

2020年春、コロナ禍の始まりによって弊社ではフェイスシールドを製作、販売を開始しました。
最初はマスク不足のニュースから、モノづくりの担い手としてできることをしたい。
単にそれだけからの始まりでした。

しかし実はこれを遡ること数年前。
私は一つのセミナーに半年間、通いました。

横浜市が主催した企業の後継者塾というものです。
これは二代目後継ぎの経営者に向けたもので、初代創業者とはまた違う悩みを抱えている方達が集まりました。

一番多かったのが、団塊の世代が高度成長期に創業し、団塊ジュニアが二代目として跡を継ぐパターンです。

私もまさにそれ。
32歳で後継ぎし、それから15年の月日がたち、今現在47歳。

そんな同じ後継者の方達とセミナーの終了後も自主的に集まり、
お互いの企業紹介や外部から講師を招いての勉強会を続けています。

そこで偶然知り合った一人が、医療商社のソルブ株式会社の代表の方でした。
http://solve-online.jp/

こちらのサイトで全く畑違いで作ったフェイスシールドを最初に販売して頂けた。
これは同じ業界にとらわれず、異業種との交流をしていたこと。
同じ2代目で年齢が近かったことも、スムーズに話が流れた要因だったかもしれません。

町工場仲間

一方で、SNSもフル活用して同じ町工場仲間も増えていました。
奇しくも同じように団塊ジュニア世代の経営者も多く、そこには古い価値観から離れた新しい空気がありました。
その中でも特に積極的に動く方達と共に、弊社もこうしてギフトショーという展示会に出展したのです。

これが集った26社を紹介する町工場プロダクツのサイトです。
町工場プロダクツ
https://makers-link-giftshow.jimdosite.com/

こちらの株式会社栗原精機さんが発起人となり

Facebookでのグループを中心とした2000人を越すグループからの有志の集まりです。
https://www.facebook.com/groups/makerslink/

その中でもこの展示会に出展を決意した26社は、自社製品を出して新しく未来を切り開こうという同じ目的を持ったチーム。

中にはまだ自社製品の製作がギリギリまで間に合わなかったり、販売サイトも未設置で、販売方法も確立できてない会社もありました。

しかし動かないことには変わらない。
閉塞した現状をなんとか打破したい。

そういうとても前向きな会社ばかりです。

町工場の潜在的問題点

町工場というと、一つの流れがあります。
その多くは下請けのいわゆるピラミッド構造です。

よくある例が、例えば自動車の場合

自動車メーカー

一次サプライヤー

二次サプライヤー

鋳造(弊社客先)→部品仕上げ加工・表面処理

金型(弊社)

材料・熱処理・工具・機械・油

となり、下層になると構造もより複雑に入り混じります。

最近は下請け、という言葉使わずに
「協力会社」という表現に代わってはきました。

ただ、根本的に変わらないのは
「誰にどう評価されるか」
です。

自動車の場合、車メーカーの特に営業の方は車の購入・利用者から
「この車を買って良かった!」
という評価を得られますが
「この車のこの部品のこの金型が良いですね!」
と、名指しで金型屋が評価されることはまずありません(笑)

代わりにメーカーサイドから代金を頂くわけですが、長いこと仕事をしていると、どうしてもお金だけではモチベーションにつながりにくいのが現状です。

家族や友人に自分の仕事を紹介しても
「ダイカスト金型?何それ?」
となりやすく、とても自慢できるようなものではありません。

働く目的として
「お金を稼ぐ」
「社会的に役立つため」
「スキル・キャリアを磨く」
など、様々にあると思います。

その中で、
「何を作ってるかわからない会社で働く」
という考えをする方はまずいないと思います。

下請け町工場の最大の弱点はここだと思うんです。
どの機械のどの部分に使われるのか、さっぱりわからない図面が弊社にも回ってきます。
これでテンション上げて作ろう、というのは、特に若手の方には難しいと思います。

家族や友人に、これ作ってるんだぜ!
と少しくらいは話をしたくなるのが人間だと思うんです。

そうなると、自社製品というのが一つの解決策になると行きつきます。

何を作ってるか説明しやすくなりますし、自社の技術もアピールできる。

購入頂ければ、直接その評価も頂ける。
「この製品、いいね!」

ここがモノづくりをする側として、最大の喜びに繋がっていきます。
「モノづくりって楽しい」
やはり、そう感じないことには働く意欲につながりません。

この意欲があってこそ、一般的にわかりにくい専門的な仕事もできるようになると思います。

実は弊社でも今期、新卒の社会人1年目の新人を始めて採用することができました。

そのきっかけ、決め手となったのが
「よくわからない製品だったけど、作ってるのが楽しそうだったから」
という理由でした。

これは大変光栄で嬉しい言葉ですし、金型だけを作っていた今までには考えられない出来事でした。

企業の至上命題は存続すること、とも言われます。
少子高齢化、労働者不足が叫ばれる昨今。
どうしたって人材の奪い合いのような状況になっています。
発信力の無い会社、魅力の無い会社は淘汰されていくのが現実だと思います。
弊社では少しでも魅力のある仕事として、認知をしてもらえるようにとこうしてブログを書き綴っているのも一つの理由です。

収益の柱の構築

今を風の時代と呼ぶ人もいます。
コロナ禍が始まり、地球温暖化もあり、働き方改革など、様々に価値観が変わっています。
直近では、半導体不足などから自動車の生産量を半分にまで落とすニュースがありました。
これは先ほどから触れている、下請け企業としても大変に大きいインパクトです。
材料費の高騰もあります。
物流も混乱が続いています。
もはや何が起こるか先の読みにくい時代になりました。

そうなると、どうしても事業の柱を増やし、リスクの分散をする必要が見えてきます。
これだって新事業ができて収益が急に上がるものではありません。
先行投資も必要です。
業務も増え、本業を圧迫する事態も起こります。

消極的に尻すぼみになっていくのか
それとも、積極的にやるだけやっていくのか

大きな経営判断ではありますが、弊社では次の柱を見据えて新たにも進んでいます。
持てる技術で自分にしかできない仕事を。

これこそ小さな町工場の生き残るための一つの方法と考えています。

同じ考えの仲間がいる

さて、こうなると周囲の方々も応援してくれるようになりました。
町工場プロダクツの取り組みもメディアの方が取材してくれました。

もちろん、こういう取り組みは特に地方自治体も一緒に取り組むところが多いです。
しかし、今回はそういう大きなものに依存せずに、自分達で全国から異業種も含み「町工場」という条件で集まった、言わば私設チーム。
これはなかなか見かけないと思います。
でもだからこそ面白い!
こうなると「町工場」はいよいよブランド力を持ち、このまま催事でパッケージ化して展開も考えられるよね、と更なる飛躍も見据えています。

モノづくりは楽しい。
モノを作る町工場はテーマパークだ。

そこを大事に、今日も元気に金型を作ってます!